
第7回
「見守ってあげたい」と感じさせる声

第7回のテーマは、
「うーにゃんたちの声はどう決めた?」
声優を募集したことで、
2人がそれぞれ異なるイメージを抱いていたと
わかります。
この先、うーにゃんのどんな活躍が見られるのかも、ご紹介します。
──
アフレコのお話もぜひ伺いたいです。
子ども向けアニメーションの中には、
セリフなしで見せるものもありますよね。
声あり・なしはどう考えていまたか?
木川田
確かに「ピングー」のような
作品もありますよね。
こーだい
グローバル展開を狙った
セリフなしのアニメーションも
増えていますね。
でも、セリフなしという選択肢は
考えていませんでした。
原作で、うーにゃんたちが
しゃべっているというのもありますが、
声なしだと制限も多いんです。
でも「ロボット・ドリームズ」のように
100分以上あるのにセリフなしで
物語がすごく伝わる作品もありますね。
あれはすごかった。
木川田
色々なエピソードを描くには、
セリフがあったほうが伝わりやすいです。
★図:うーにゃん画像
こーだい
動きでセリフを表現するような演出が
できないわけではありませんが、
声によって演技の幅を広げてもらうことも
できるので、大変助けてもらっています。
声がついて命が吹き込まれたと思う
瞬間がありまして、作っていて
あの瞬間がとても好きなんですよね。
──
実際、今のうーにゃんは声がついたことで
どんな子なのか、もっとわかりやすくなりました。
アニメだと一般的にはオーディションで声優を
募集しますが、うーにゃんの場合はいかがでしたか?
こーだい
SNSで募集をかけたところ、
ありがたいことに
声優のスクールに通っている方から
プロとして活躍されている方まで、
たくさんご応募いただきました。
★図:うーにゃん、カルパ、シルバ画像
うーにゃん役の雪深山福子さん、
カルパ役の門脇舞以さん、
シルバ役の井上優さんは
プロだから選んだわけではなく、
1人1人の声を聞いてぴったりくる方に
お願いしました。
うーにゃんの声は何が決め手でしたか。
──
こーだい
幼い子どもの声を出せる方って
貴重なんですよ。
嫌味がなく、ちゃんと子どもの声に
聞こえる声をつくるのはすごく難しい。
木川田
現実の子どもを超えて、
“いかにも子ども”のような声を
出せる方はいますが、
自然に小さな子どものような
雰囲気を出せるっていうのは
なかなかできないことですよね。
子どもの“弱さ・頼りなさ”の表現とか。
こーだい
この話をぜひしたいんですけど、
僕と木川田の想像するうーにゃんのイメージって
それぞれ違うんですよ。
声を選ぶ段階になって、
お互いがもつイメージの違いに気づいた?
──
★図:うーにゃん画像
こーだい
木川田が描く漫画では“弱さ・頼りなさ”で、
僕が描く絵コンテでは“好奇心が強い元気な男の子”。
だから漫画とアニメで少し違った
うーにゃんを描いているのかもしれません。
木川田
そこでチーフアニメーターの
山田桃子さんが動きを描いてくれるから
いい度合いにおさまってますね。
山田さんは女の子を描くのが好きで
男の子もどこかふわっとやわらかさが
出るんですよ。
こーだい
僕が全部に動きをつけると、
たぶんもっと活発な感じになるかも。
木川田
なってるだろうね。
主題歌アニメPVの最初の、
クッションからワッと飛び出してくる感じ。
“弱さ・頼りなさ”というのは
少し意外でした。
雪深山さんの声は、どこか芯があって
まっすぐな印象だったので。
──
こーだい
そう、まさにあの時みたいな元気さ。
木川田
オーディションでは、応募者の方の中には
大人が想像する子どもの声や
元気に「わーい!」と跳ね回るような声で
演じてくださった方もいました。
★図:うーにゃん画像
失敗したり涙目だったりするシーン
ただ私は“ほっとけない”が大切だと思ってて、
うーにゃんを見て「助けてあげなきゃ」
「見守ってあげなきゃケガするかも」と
大人に感じさせるような声だといいな、と。
雪深山さんの声を聞くと、
また違った方向からうーにゃんを演じて
くださって、これだと感じました。
こーだい
雪深山さんは大人の女性も
少女の役も幅広く演じられる上に、
うーにゃんみたいな子までできるのがすごい。
木川田
「ぼのぼの」のような難しい役も
自然な演技が巧みじゃないとできないしね。
カルパ役の門脇舞さんはいかがですか。
カルパもすごく難しいと思うんですよ。
男性っぽいのか、女性っぽいのか、
それとも機械っぽいのか、どう演じるか
悩むキャラクターだと思います。
──
★図:カルパ画像
木川田
カルパ役は難しいだろうし、
声優さんが決まるか心配でしたが、
門脇さんが演じるカルパの声を
聞いたらすごくよかったんですよね。
こーだい
設定だけ見て演じると、無機質になって
感情があまり入らないキャラクターに
なってしまいがちだと思います。
平凡な機械っぽい感じになってしまう。
だけど門脇さんの声があることで、
魅力を引き出してもらえました。
うーにゃんに振り回されて、
ちょっと困った感じのセリフも、
門脇さんがしゃべるとより大変そうに聞こえて
親たちは共感してると思います(笑)。
声の想像がつかなかったカルパの一方、
井上優さんが演じるシルバ役の声は、
聞けば万人が納得するぴったり具合ですね。
──
木川田
本当に。
イメージしていたシルバそのままでした。
いわゆるイケボみたいな声ではなく、
元ノラの雰囲気が出せるような
ノラっぽさが欲しかったんです。
★図:シルバ画像
井上さんが声を担当してからは、
シルバに男性ファンが増えました。
もともと女性ファンがいそうな
キャラクターですが、さらに男性ファンも!
──
木川田
海外のファンも男性から「かっこいい」と
コメントが増えました。
こーだい
シルバは本当にファンが多いです。
漫画には、うーにゃんたち以外にも
大勢のキャラクターが登場しているので、
アニメーションでも彼らが登場するのが
楽しみです。
──
こーだい
そうですね。ぜひ登場させたいです。
「子猫の配達員うーにゃん」の
アニメーションは、今後どのような
展開を考えていますか?
──
こーだい
短編アニメーションでは
オリジナルストーリーだったので、
次は原作の漫画をベースにした
シリーズものをつくろうと、
今まさに進めております。
配達員というと、物を運んで来てくれる
役割として考えるかと思います。
うーにゃんが配達員としてお届けすることで、
贈った人の大切な気持ちだったり、
うーにゃん自身の思いだったり、
物以外にも一緒に届けてくれている何かを
感じてもらえると嬉しいです。
木川田
今は漫画だけで登場しているお客さんや仲間たちも、アニメの中で動いたり、しゃべったりする姿を、いつか見ていただきたいと思っています。
一話一話、うーにゃんの生活を
切り取るように、大切に制作していきます。
まだ出会っていない誰かにとっても、
うーにゃんが「何かを届ける存在」
になれたら嬉しいです。
どうか、一緒に見守る気持ちで
応援していただけたらと思います!
★図:入れたい図版があればラストに入れる






